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2009.8.7更新

第5回 「社会・環境貢献緑地とSRI(社会的責任投資)」

株式会社大和総研 経営戦略研究所 主席研究員,経営戦略研究部長 河口 真理子 氏 


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“緑”とCSRの可能性

 ………“緑”はこれからの時代のメインストリーム
 これからの日本の課題は、農業、里地里山、緑の復活にあると思います。緑もないようなところに人間が棲めるわけがないのですから。緑があってこその人間です。イースター島なども木がなくなって消滅してしまったといわれていますし、人類史をみていると緑が消滅した都市や文明はみんな滅亡していますよね。今までは、森をつぶして開発してきましたが、サステナブルな社会づくりに向けて、少しずつでも緑を復活させて、生物多様性に配慮したまちづくりを目指していこうという話はこれからの時代のメインストリームになり得る話だと思います。また、日本の場合、農業・食料自給率の低さというのも問題ですよね。現在約4割の自給率をあと20年で5割にしていこうという計画があり、それだけでマーケットとしては25%増ですよね。「農」を含めたトータルな緑、生物資源の恩恵をうけるような仕組みと考えて見てはどうでしょうか。また、これまでのように、都市と田舎、つまり緑のある所というのを分けて考えるのではなく、都市のなかに生物資源を育む緑を取り込んでいこう、という発想であれば、どんどんメインストリームになっていくのではないでしょうか。コンパクトシティという発想もこれからの都市づくりの解決方策のひとつですが、都市化して緑がなくなってしまったところをどんどん緑にしていこう、という発想もあると思います。

 ………緑と外部経済(環境フリーライドと囚人のジレンマ)
 緑には外部経済(外部不経済)がつきまとうという話は、ある程度はしょうがないと思います。自分が身銭を切ってつくった緑のおかげで他の人が得をするのはイヤ、あるいは、誰かがやってくれれば自分にとっては一番都合が良いと考える人がいるのは仕方のないことです。フリーライド(ただ乗り)するなどけしからん、と考える人も確かにいるでしょうが、それでも自分が投資して自ら緑をつくることに価値を見出す人が増えてきているのではないでしょうか。たとえフリーライドする人がいたとしても、自分は緑のコストを負担しようという人たちが増えてきているのでしょう。グリーン電力などでも同じことが言えるのだと思います。フリーライドされるかも知れないが、やる価値がある、と考える人たちが実際に増えてきているのです。SEGESで認定されているような、緑豊かなところに入居することが、ある種のステータスになってきていて、テナント側からもプレミアムをとれるようになってきています。ですので、フリーライドはあまり考えずに、「やろう」としている人たち、「緑にお金を出そう」としている人たちがいて増えてきているのですから、その人たちの取り組みを褒めていく方が良いと思います。フリーライドしている人たちが、自分もコストを負担したくなるような仕組みにしていけば良いのだと思います。フリーライドしているだけじゃもったいないな、とか、自分もやりたいな、という。そして緑が大事だと思えば、直接自分が支払わなくても、何か別の形で緑に寄与できる方法もあれば良いのではないでしょうか。実際、SEGES認定に適うようなものが増えていけば、街は気持ちよくなるでしょうね。
 グリーンの価値をどう認めていくかということも議論されていますし、フリーライドの問題はこういう活動を一生懸命やっていればきっと減ってくるのだと思います。逆に環境(グリーン)を持っていることを価値付けにしていこう、という動きが進みつつありますし、グリーンの付加価値を一旦マーケットが認めてしまえば、放っておいても進むはずです。

 ………緑の創出はCSRなのか
 SEGES認定を取得するような取組がCSRなのかどうかは、会社の受け止め方によって異なると思います。例えば、デベロッパーさんであれば、CSRというよりはエコ商品と捉えるかもしれません。ですから、家電メーカーさんが環境配慮型のエアコンを作って売っていくというのと同じで、エコ商品比率を高めていこう、ということであればCSRということができるでしょう。CSRとして位置づけなくてはできないケースであればCSRでやれば良いし、CSRと言わなくても、これがマーケティング上重要だと位置づけられるのであればそちらでやれば、売る方法としてどんどんやれば良いと思います。その時に、自分の会社のマーケティングのためだというだけではなく、CSR的な側面もきちっと打ち出していくことが大切なのでしょう。例えばこの緑をつくることによって、ヒートアイランドに対しどのぐらい貢献するのかとか、地域の生態系を取り戻すような場所をつくる、というようなことが外部経済でありCSR的な要素が高いという位置づけで良いのではないでしょうか。緑はないと、絶対に生きていけないのですから、SEGES認定のような緑を意識した取り組みは必ず増えていくでしょう。
 

(2009年4月10日収録 聞き手:SEGES事務局 小松尚美)

河口 真理子 氏

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