2009.8.7更新
第5回 「社会・環境貢献緑地とSRI(社会的責任投資)」
株式会社大和総研 経営戦略研究所 主席研究員,経営戦略研究部長 河口 真理子 氏
環境CSRとSRIの潮流(3)
………E・S・G(Environmental、Social、Governance)があってこその、F(Finance)
SRIの世界でいうESGという言葉があります。EはEnvironmental(環境)、 SはSocial(社会性)、 GはGovernance(統制)ですが、今まではF、ようするにFinancil(財務)なデータばかりを重視して企業を分析し投資してきたわけでが、ESGという要素もキチンと確保していかなくてはいけない、という考え方になってきています。考えてみれば、そもそも企業がお金(F)をつくるためには、ESGが不可欠なはずなのです。きちんとした会社(ガバナンス)があって、それが資源というEを使い、Sという地域において人を使って、それでF(お金)が出てくるはずなのですから、Fだけ見ていて、ESGを見ないというのは本当に愚かな話です。そもそも、ESGがないところでF-お金、経済が成り立つということはありえません。ESGはFを生み出す源泉であり、その本質的な部分を見てこなかったという反省が、投資家にも生まれつつあるように思います。
………資産形成とは世の中の流れを買うこと
単に目先の自分の金儲けというテクニカルなことに走るのではなくて、社会や環境とかいうことを含めて、長期的な発想にたって何に投資すべきなのか、ということを考える投資家が増えてきています。資産形成ということは世の中の流れを買うということですから、世の中の流れをどう見るかということだと思います。世の中の流れでは、EとS(環境と社会)は非常に重要になってきている訳ですから、EとSについてどういう取組をしている会社に投資するか、というのはとても自然な解り易い考え方ですし、そういう投資家は増えてきています。
………資健全な経済システムにむけてのポジティブな芽吹き
国をあげて「グリーン」という方向を目指しているわけですから、金融でも「グリーン」は進めていく流れにあります。グリーン電力ファンドなども少しずつ盛り上がりを見せていますし、コミュニティインベストメントなども進んできています。そういうものに共感する人が増えてきていて、自分達のお金をどう使うのか、帰結を考える人が増えてきているのでしょう。ですから、希望は大いにあると思います。下を向いて暗くなっているばかりではなくでなくて、ポジティブな芽というのが芽吹きつつあるのです。
………経済危機もある意味怪我の功名。パラダイムシフトのチャンス
今度の経済危機とは言いますが、例えるなら、これまでの大量生産大量消費という時代の車に乗り、崖に向かって全速力で突っ走っていたのが「このままではいけない」ということで急ブレーキをかけたために、みんな転んで鼻血を出しているような状況ではないでしょうか。そのまま進んで、みんなで崖の下に落ちるよりはマシだったのではないかと思うのです。我々の経済の仕組みというものが、資源を収奪することによって、初めて我々がハッピーになるというおかしな仕組みを続けてきてしまった。より多く収奪すればより豊かになるという、おかしな仕組みをなんとか変える千載一遇のチャンスだとおもいます。「環境を重視すると経済が・・・」と言う人もいますが、そもそもそんな経済の仕組みがおかしかったのではないでしょうか。それを変えるパラダイムシフトが必要と考える人が、少数ながら増えています。今まで当たり前だったことが当たり前でなくなるということ、パラダイムが変わるのだ、と認識している人が増えてきているのです。でも、その社会システムの立て直しは、もう目の前に直面している問題なので、その転換のスピードは問題です。もっとスピードアップしなくては間に合わないかもしれません。

