2009.6.5更新
第4回 「可能性の広がる、"緑"の価値」
CSRデザイン&ランドスケープ設計事務所 有限会社 代表取締役 平松宏城 氏
日本における投資対象としての緑の可能性
………注目される本質的な価値と、増える投資機会
日本でも、ランドスケープデザインが都市緑化において重要度を増し、投資対象としても魅力的になるはずです。レバレッジという10の価値のものを、お金を借りて100に見せる、みせかけのリターンを大きくしていく手法を続けることはもう無理であり、ものごとの本質的な価値を大きくすることを考えなくてはいけない時代になってきています。緑をはじめとした、景観や環境といった、本質的な価値を高めていく時代であり「やるしかない」と思っている人は多いはずです。
アメリカでLEEDが普及したのは、権威や規制にのみ寄るものではなく、経済合理性があることを示してきたことによります。ブランディングも含めて普及の戦略が優れていましたし、金融や投資といったビジネスの関係者が判断をするときに、格付けがあるかないかが判断材料として機能するための第三者性・中立性の原則を最初から確立させたことで、ビジネスとリンクして普及が進んできました。
しかしながら、日本とアメリカでは投資家の行動が違うのも事実です。日本では、間接金融が主体であり、この場合、投資家の思想や意識が投資行動に反映されにくいのです。最近では、環境整備をするために金利を安くする環境配慮型の金融商品も増えつつありますが、そもそも円の金利が相当安いので、金利を安くすることは現状ではインセンティブとしてはあまり機能していないような気がします。間接金融主流の世界の中では、動きとしてはなかなか現れにくいのですが、年金等を長期的に運用する機関が、環境性能の良し悪しにより将来的なリスク・リターンが大きく変わることに着目し、環境に対して投資をしていけば、責任投資原則の導入とあいまって、流れも変わっていくでしょう。また、投資する方にも情報が必要となるので、それぞれの企業が情報を発信することや、しっかりとした第三者制度による評価制度をつくることの意味も大きくなると考えられます。
企業活動と"緑"の付加価値
………CSRと緑の新しい価値
アメリカではLEEDの普及にみられるように、緑や環境が新しい付加価値として認められるようになってきています。快適性や生産性といった数字には表しにくいものを、不動産の価値として帰納的に証明して示しているのです。これからの時代のキーワードとなる「快適性」や、CO2削減と同じくらいの重みをもってくるであろう「生物多様性」を緑地とリンクさせることが、“緑”の価値を高め、CSRとして緑に取り組む動機となり、SEGES普及のポイントになるでしょう。
当社では、ランドスケープデザインのコンサルティングの他に、「本当に環境に良いことと、企業を結び付けたい」との考えから、企業のCSRのコンサルティングなどもおこなっています。森の再生や、生物多様性に配慮した植栽計画を普及させることに、企業の力をどう活かせるかといった橋渡しをおこなっています。
日本において、SRI(社会的責任投資)のスクリーニング手法はまだまだ発展途上で、取り組みの内容如何に関わらず、お金に余裕のある、「超一流」と既に格付けされている優良企業のみが結果的に対象となっているのが現状です。海外では「環境性能の高い不動産を買う」といったグリーンREIT等に投資しようという、本格的なSRIが機能していて、日本においても今後はこうした行動が必要となってくるでしょうし、そうした社会システムが成熟することで社会における緑の価値もより重要なものとなってくるでしょう