2008.3.18更新
第3回 「社会・環境貢献とCSRの現在」
株式会社 創コンサルティング 代表取締役 海野みづえ 氏
………緑とCSRのかかわり
緑は戦略的社会貢献に繋げることができます。通常社会貢献というと、事業で出た儲けの中から何か社会に還元する、ということでCSRとは少し違うのですが、事業活動に沿った戦略的社会貢献であれば戦略的CSRになり得ます。事業と結びつけば、会社の視点をきちんと見せ、より明確なCSRの方向性がみえてきます。緑関連の業種だけでなく、自然に何かしら関わるビジネスだったら、戦略性をもたせるのは十分可能だと思います。
また、先ほどCSRのグローバル性について話をしましたが、もちろん地域密着型のCSRが求められる業種などもあります。そういう会社では、地域の中でいかに成功するかということを第一に考え、地域の信頼を得ることは重要です。高い壁に囲まれて閉鎖的だと、「何か隠しているんじゃないか怪しい」となりますが、緑地で囲えば、開放したり交流の接点にするとか、「地域と一緒にやりましょう」、というオープンさ示すこともできます。緑地は何のためにあるのか、どう使うか?どう活かせるかは戦略性につながっていきます。
以前とある企業の工場見学に行ったところ、工場内にビオトープがあり、担当の人は環境保全の面から一生懸命説明してくれました。技術系の会社で、社員は細かい仕事をしているので、休憩の時、池や生きものや散歩道で気が休まる効果もあるはずですが、そのあたりは説明に入っていませんでした。ビオトープの使い方も、子供達を呼んで生きもの観察会とか、コミュニケーションの場としても使える。作られた緑であっても緑があるのはいい、人が安らぐ、ということをもっと言っても良いと思います。従業員戦略にもなるわけですから。
………緑地の価値の経営的判断
確かに「緑地地で財務上プラスになります」、とは言いにくいところはあります。ですが、緑地や環境を整備することをやらなかったらどうなるのか?と考えると、ほったらかしでは、イメージが悪くなり、やらないことの損失が生じます。環境対策をしないで放置しておいて、いずれ環境規制ができたとき修復しなければならないとするとコストが高くつく。それに比べて予防にかけるコストの方が少なくて済むのでマイナスを回復できているという考え方もあるわけです。将来起こるリスクをいまのうちに下げておく、緑地を作らないでおく場合のマイナス要因を計算するのは難しいですが、汚染対策とか基本の環境対策は当然したうえで、さらにプラスの緑化をするのも、何もしないでいる場合のリスクをどれだけ回避できるかを戦略性につなげられるのです。
企業の緑地確保は、経営者に緑に対する思い入れがあったり、立地的に緑が残っている恵まれたところばかりではないと思いますが、たとえ街中の狭い敷地に、なんとか苦慮して緑の生垣を作ったものもでも、無味乾燥な塀で囲ってしまえば、「あまり近寄りたくないね」、で終わってしまうというマイナスをへらしているというプラスの意味はあると言えます。
………アメリカの工場の緑地
最近の気候変動に絡んだ動きが急速に増えているから緑地が増えているというわけではないですね。地域の住民が自分たちの土地の値段が下がらないよう維持したいこともあり、景観に対する住民運動が盛んなこともあります。自分のコミュニティはきれいにしておきたい、ということで工場立地の段階から監視している場合も多い。環境規制より住民の合意を得る作業にコストかかってしまうのを避け、土地はあるのに外国に工場を作ることもあるといいますから、もちろん国土の広さの違いはありますが、緑地の多さは住民のパワーの強さと言うことができるかもしれません。
………SEGESへの期待
「点」の緑がもっと広い地域に広がっていくような仕組みになるといいですね。どんなにその一企業が一生懸命意やっていても、その企業の部分だけでは「点」で終わってします。緑は繋がることでより一層その機能を高めて行くことが出来ます。SEGESには点と点を繋いだり、点から周囲に広げていくような役割を期待したいです。
(2008年2月13日収録)
