2008.3.18更新
第3回 「社会・環境貢献とCSRの現在」
株式会社 創コンサルティング 代表取締役 海野みづえ 氏
………不祥事対策も
まず企業倫理とリスクマネジメントなどのガバナンス(企業統治)が根底にあり、その上に環境対応や労働管理、地域貢献など、事業のプロセスに社会や環境への配慮を組み込んでいく、基本的CSRがあります。さらに、社会課題への対応を、その企業の特徴を出しながら事業化し、生じるCSRリスクを克服し、社会貢献を進めていくことを戦略的CSRと位置づけています。基本的CSRが改善や品質管理にあたるのに対し、戦略的CSRはもっと前向きに強く打ち出すものです。
基本的CSRはどこの企業でも取り組むため、差別化ができません。 そもそもどの会社も事業活動は異なります。海外向けか日本中心か、サービス業か製造業か、などによって経営が同じではないように、CSRも何を戦略にするかは同じには語れません。積極的に戦略的CSRに取り組んでいくことで差別化を図ることもできるのです。
日本ではこれまでCSRというと、不祥事が起きると、やらなくちゃという、基本の部分ばかりに目がいっている傾向にあります。それももちろん大事ですが、そればかりだと、あれもダメこれもダメとなり、社内研修や体制づくりなど社員一人一人への負担も大きく、会社は萎縮してしまいます。その一方で、アメリカ、ヨーロッパでは気候変動問題やエネルギー問題をビジネスの柱にする動きが目立っています。同じ環境問題でも改善・対策ばかりやっているよりも、こうするとCO2が減らせるとか、クリーンな車ができて世の中が良くなると思える方が社員としても良いわけです。
日本の企業にとってはCSRが不祥事対策として国内指向になっていて、消費者を見ているとは言いながらも、実際は社内のことに追われて、とても内向きになってしまっています。世界では、温暖化問題とか、人間社会がここまで広がってしまったところで、企業が経済活動を続けながらどう対応していくのか、広い視点でCSRを見ています。また今ISO26000という、企業だけでなく「組織」の「社会的責任(SR)」を問う国際規格が作成されているところです。これは、してはいけないことの基本的な部分に対する規格で、特に新興国がこういう対策をしていかないと被害が大きくなるという考えが発端になっています。
