2007.12.03更新
第2回 「緑による環境コミュニケーション」
『日経エコロジー』 副編集長 斎藤 正一 氏
地球環境の問題が日々深刻化し、日常的な話題となっています。環境とどう関わり、その関わりをどう伝えるのか、「環境コミュニケーション」という言葉が、注目されてきています。SEGESをその有力なツールとして役立てるためにも、そのあたりを知ってみたいと思います。そこで、今回は環境コミュニケーションの推進役とも言え、「環境」を扱って8年になる雑誌『日経エコロジー』の副編集長、斎藤正一氏にお話をうかがいました。
斎藤 正一 氏 『日経エコロジー』 副編集長 1962年生まれ。明治大学法学部卒、産経新聞東京本社入社。87年日経マグロウヒル(現・日経BP)入社、日経ビジネス記者などを経て、99年から日経エコロジー副編集長。 |
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環境コミュニケーションは今
………「環境コミュニケーション」という言葉が、重要視されるようになってきた社会的背景はどういったものなのでしょうか。
「企業の社会的責任」と訳されているCSRは、日本ではここ4〜5年、急速にクローズアップされてきています。そのことに関連して、ステークホルダー(企業に対して利害関係を持つ人々)との関係を重視していこうという課題が生じてきました。それは、その企業の株主であったり、社員であったり、顧客であったり、またそこには地域住民までも含まれてきます。ですから、大きくとらえると、そうしたCSRの要請が、環境コミュニケーションというものの必要性を後押ししたということが、まずひとつあります。
もうひとつ、企業で環境コミュニケーションを論じるときには、リスクマネジメントにともなうコミュニケーションという一面もあります。最近、企業幹部が頭を下げるという事例には事欠きませんが、もし事故なり不祥事を起こしたときに、どういうふうに社会とコミュニケーションしていくか、という能力を重視せざるを得なくなりました。
そういう立場になったときに、たとえばそれが環境に関する事故であれば、工場周辺の地域住民の方々と話し合わなければならなくなる。まさにこれが環境コミュニケーションの問題になってくるわけです。このような2つの要請から、環境コミュニケーションという言葉がよく使われはじめているのではないか、というように思います。
………CSRや環境コミュニケーションというのは、企業としては自ら積極的に、前向きに取り組んでいきたいものなのでしょうか。それとも、そういう社会的要請があるから、やむなくというような消極的なものなのでしょうか…。
それはやはり、両方あるでしょう。企業それぞれだと思います。今、言われたどちらかだと答えてみても、多分正確ではないのでしょうね。前者の要素が強い企業もあれば、後者の要素が強い企業もある。0か100かという問題ではなくて積極的な面と消極的な面が一緒になって取り組んでいる、そういう形なんだと思います。
ただ、今はそうであっても、将来的には環境コミュニケーションには、いずれより積極的に取り組んでいく必要があります。義務感だけで“しなければならない”というよりも、“積極的にどんどんやっていこう”、そういうふうに変わる必要があると思いますけれどね。
………積極的な姿勢に変えていくには、経営者の意識改革で、推進できることなのでしょうか。あるいは時間がかかっても、経営層だけでなく、従業員も消費者も株主もステークホルダー全体の意識が変わっていくときまで待たなければならないのでしょうか。
そういうことを考えれば、結局時期が熟するまで待つというのではなく、一番重要なのは社長さんというかトップの方が引っ張っていくことが重要なんですよね。それがたとえば工場のサイトであれば、工場長レベルでもいいのですが、そういうトップの判断というのが非常に重要になってくる、それはまず間違いない。
しかし、トップにはかかわらなければならないことがたくさんあり、環境の問題だけを考えているわけではない。とすれば環境の担当部署が、トップに適切な情報を上げていくという努力が必要になってくる、ということですね。
………いろんな企業をみてこられて、そういうトップの意思が見事に牽引力を発揮しているところと、トップの意識は薄くて現場だけが苦労しながらがんばっているという、トップと現場の意識のねじれみたいな例も、想像するとあるのではないかと思われますが。
おっしゃるようにトップと現場の意識のねじれを感じることはあります。仮に企業トップの意識が変わっていなくても、形式的に下にそういう号令をかけておけば、それで下が動きますからね。それで上手く回っていれば、それはそれでいいのですが。
現在、環境報告書やCSRレポートをだしている企業は900〜1,000社くらいあるようです。企業内部でいえばISO14001の活動をまわしていますよ、という企業は多い。だけれど、それがルーティンワークの一部になっているだけ、と感じさせるところはあります。
本来的には、環境マネジメントシステムを回しているわけですから、常により前に、より進化していかなければならないのに、そこに留まってしまっている。
そういう状況を変えていく力が、企業内のどこから生み出されるかといえば、やはり環境部といわれるような部署になるのでしょうね。そうしたエンジンとなるような部署とトップをはじめ社内の意識のずれやねじれが生じる、生じやすいということでしょう。
